【中国・韓国で話題】ライブコマースとは?

2021.04.28

「ライブコマース」をご存じでしょうか。これはEC、つまりネットショッピングとライブ配信を組み合わせた実演販売で、中国や韓国で急成長しているサービスです。

商品のPRをインターネット上のライブ配信でおこなうため、リアルタイムで双方向のコミュニケーションが可能なライブコマース。視聴者は配信画面からすぐに商品を購入できるため、インフルエンサーによるPRや接客スキルをもつプロの力が生きる場ともいえます。

EC業界とインフルエンサーが力を増していくなかで注目が集まるライブコマース。その理由と動向についてご紹介します。

ライブコマースが注目される理由




ここではライブコマースが注目されている主な理由をピックアップしてご紹介します。

ライブ配信が人気


ライブコマースが注目されている背景にはまず、InstagramやFacebookなどのSNSを使ったライブ配信の人気があります。動画には臨場感があり、ライブ配信されているとよい意味で先が読めないため、それを楽しむ人も増えているでしょう。

リアルタイムのコミュニケーションが可能


ライブコマースでは、視聴者からの質問やコメントをリアルタイムで受け付ける場面が多く見られます。実店舗のスタッフと話すように双方向のコミュニケーションがとれるため、視聴者側が感じる情報不足を解消できるのです。この点、テレビショッピングにはない買い物体験といえるでしょう。

インフルエンサーがマネタイズに成功


日本では2017年頃から注目され始めたライブコマース。実は国外でさらに数年前から普及し始めていました。元々は中国で著名なブロガーやインフルエンサーが商品を紹介する販売方法として拡大し、日本円にして億単位の収入を得るインフルエンサーも出てきています。

日頃から動向が注目されているインフルエンサーであれば、視聴者もある程度の興味と信頼をもってPRを聞くことになります。企業側の広報だけでなく、商品のよさを語る生の声が購買を後押しするようになってきたといえるでしょう。

2020年からのコロナ禍で、自宅で買い物ができるEC需要が増えていることもあり、商品に説得力をもたせられるライブコマースはますますその勢いを強めています。この手法は、EC業界の価値をより高める可能性をもっているのです。

ライブコマースの事例




ここでは、実際に成功しているライブコマースの事例をご紹介します。

中国の「淘宝網(タオバオ)」


「淘宝網(タオバオ)」は中国で広く利用されているインターネットショッピングサイトです。デジタルメディア事業やエンターテインメント事業で知られるアリババグループが運営しており、中小企業や個人も出店できる市場となっています。

アリババグループは「天猫」というECサイトも後からローンチしており、こちらはブランドの正規事業者がサイト内に店舗を構え、個人向けに販売するプラットフォーム。厳格な審査に通った出店者だけが販売しているという安心感があります。

2019年5月のアリババグループ四半期決算報告によると、2018年度の淘宝網などプラットフォーム上における売上総額は、前年比19%増の8,530億米ドル。日本円にして約91兆5,000億円もの金額です。

中国でこのような大流行をみせた背景には、決済システムの工夫とインフルエンサーによるライブコマースがあるでしょう。

まず決済システムについて、アリババは購入者が支払ったお金がいったんプラットフォーム側にデポジットされ、届いた現物を購入者が確認してから売り手に代金が渡るシステムを導入しています。

ECサイトでのショッピングには、店頭で現物を確認できるショッピングと違って「品物が無事に届くかどうか」「注文通りのものが届くかどうか」という懸念がつきものです。商品が届かなかったり不良品が届いたりした場合にはお金を支払わなくてよく、売り手も確実に代金を回収できるという仕組みを作ったことで多くのユーザーを得ました。

そして2つめの理由が、ライブコマースです。淘宝網自体が宣伝するものよりも、自分の好きなインフルエンサーがおすすめするものが買いやすいと考える人が増えているのです。

とくに人気を集めているインフルエンサーが、広州在住の薇娅(ウェイヤー)さん。「タオバオ達人」とよばれるライブ配信者は3万人以上いますが、その中でも彼女は売上高1位を獲得しています。

東京都渋谷区に本社を置くトランスコスモス株式会社の完全子会社、トランスコスモスチャイナは、アメリカ発のステンレスボトルブランド「CORKCICLE」のECサービスパートナーを務めており、店舗構築から運用まで一貫してサービスを提供しています。

彼らはCORKCICLEをブランド力と認知度を中国で拡大するために、インフルエンサーである薇娅さんと提携して、2019年10月27日におこなった第1回の天猫ライブ配信で、80万人もの視聴者を店舗に誘導しました。この結果、商品は数分間で完売になっています。

薇娅さんは11月11日のキャンペーン「独身の日セール」でも約410億円分の商品を売り、彼女自身の収入としても数十億円に上ったと考えられます。

韓国の「TMON(ティモン)」


韓国のインターネットショッピングサイト、「TMON(ティモン)」もライブコマースの活用で成果を出した事例です。

TMONはコアターゲットを30代主婦に定め、ウェットティッシュやおむつ、ベビーフードなど育児関連の商品を幅広く売り出しています。家電やスポーツ関連など商品カテゴリは多くもっていますが、コアユーザー層に対して「今TMONでしか買えない」という限定性をライブコマースでアピールし、売り上げを伸ばしました。

日本のライブコマースプラットフォーム


日本のライブコマースプラットフォームとしては、SHOWROOM株式会社が手がけるライブ動画ストリーミングプラットフォーム「SHOWROOM」から派生したサービス「SHOPROOM」などが挙げられます。

今後の展開予測




今後、ライブ動画配信はますます存在感を強めていくことが予想されます。中国のタオバオや韓国のTMONなどのECサイトについては、ますます魅力的なコンテンツ制作に力を入れていくでしょう。物流管理や商品のラインナップにはもともと強いというECサイトの利点を生かし、動画アプリとの連携という動きも活発になるのではないでしょうか。

実際に、中国EC業界2位の「京東集団(ジンドン)」は2020年5月、ショート動画アプリの大手「快手科技(クァイショウ)」との戦略提携を発表しています。配信されるライブ動画がより魅力的になり、サプライチェーンのノウハウも生かせれば、視聴者の購買体験がより充実したものになるでしょう。

日本においては、企業の戦略と人材の組み合わせにヒントがありそうです。中国のような圧倒的なインフルエンサーによる売上アップよりも、まずは企業の社内インフルエンサーや店舗のカリスマスタッフがライブコマースを配信するといった方法で、視聴者の興味を得られるのではないでしょうか。

商品知識やこだわりを熱く語れる人材を育てながら、ライブ配信ならではのメリットを活用する。今後のEC業界にはそんな展開が見られそうです。

企業戦略にかかわっていくライブコマース




今回は、中国や韓国で勢いを強めているライブコマースについてご紹介しました。コロナ禍で外出をする機会が減り、ECサイトでのショッピングをする人が増えている今、企業がライブコマースにかける期待も大きくなるでしょう。

よりユーザーの目線に立った情報発信・販売方法が必要とされるなか、ライブコマースはその大きな手がかりになりそうです。